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ミュンヘン
MUNICH
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昨日から公開されているSTEVEN SPIELBERG監督の新作「ミュンヘン」を観てきました。 このタイプの彼の作品では「EMPIRE OF THE SUN (太陽の帝国)」「The Color Purple(カラーパープル)」 そして、実話を基にした作品であるアカデミー賞作品賞受賞作「Schindler's List (シンドラーのリスト)」、さらに「AMISTAD(アミスタッド)」、「SAVING PRIVATE RYAN(プライベート・ライアン)」を観ましたが、今回の「MUNICH」は、これらの作品とは比べものにならないくらいの知識や思いが自分にあるために、観賞直後の気持ちはずっしりと重いものになりました。

1972年のミュンヘンオリンピック時に起きた、パレスチナゲリラによるイスラエル選手人質事件については事件そのものは知ってはいましたが、その背景についてはある時期までまったく興味すらありませんでした。 この映画はその事件後にあった史実に基づいて作られたものです。 大学生の頃、長期休暇中にイスラエルのキブツでしばらく生活してみたいと思ったことはあったのですが、結局行ったのはインドでした。 しかし人生というものは不思議なもので、卒業後社会人となってから間もなくイスラエルとは敵対国のシリアでの生活が始まりました。 自分の住むフラットの大家さんと、自分が一番仲の良かった現地スタッフがパレスチナ人ということもあるのですが、シリアでの生活でパレスチナやイスラエルを始めとした中東情勢について、さらに詳しく知ることになりました。 この映画の舞台となっている国々(実際は撮影地の多くはマルタとハンガリー)のいくつかも訪れたことがあります(もちろん、映画の時代ではありませんが)。

英語とアラビア語が耳から入り、日本語字幕が目に映るといった他の映画では体験することのほとんど無い、奇妙な感覚を受けながら、かなり内容は理解できました。 自分は、反テロではあるものの、反イスラエルでも反パレスチナでもありません。 しかし、祖国のない人たちの気持ちは理解しようと努力できると思いますし、家族の大切さはそれ以上に理解できます。 「武力による対立ではなく、愛による共生共存。」 言葉にするのは簡単ですが、私たち人類の歴史を振り返る時、そのことの困難さを実感します。 
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この映画、本国アメリカではメディアの評価は高いものの、一般の評価や興行成績はそれほど高くありません。 残酷なシーンも多く、性的なシーンもあるためR指定です。 しかし、この過去に起きた事件を風化させたくないと語るスピルバーグ監督の気持ちは伝わりましたし、テロに対して「報復」という方法がはたして正しい選択であるのか? ということを論議しあうという意味において、良いタイミングで作られた意欲作であると思います。

もしこの映画を観るのであれば、事前にこの事件が起こった時代のバックグラウンドにあったものを知ってから鑑賞する方がよいと思います。 個人的には、この映画を作成したスピルバーグ監督の熱意と勇気に心打たれますが、スピルバーグ作品という理由だけで見に行った場合、暗くて残酷で、長くて耐えられないものになるかもしれません。 残虐なシーンについては、映画をより真実に近づける効果があるように感じたと共に、「生と死」を、スピルバーグ監督作品にしては珍しいリアルな性的シーンについては、「生と性」というものの関連性を感じました。 

最後に、この作品は5部門でアカデミー賞にノミネートされています。 音楽(サウンドトラック)はご存じジョン・ウィリアムズです。

お薦め、Yahoo!ムービーの期間限定(2月20日まで)「ミュンヘン」特集はこちら
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by pomology | 2006-02-05 18:21 | 映画

ブログは永らく休止中ですが、今年2009年 Mr.childrenについてはホールツアー1回、ドームツアー2回行って来ました。
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